古民家再生シリーズ5【伝統工法は免震構造】

前回は、在来工法と伝統工法の違いを大まかではありますが、紹介をしました。

我が国は、地震の多い国であり、現在も住宅において様々な、耐震大対策が施され地震に強い家作りに挑戦されています。
金沢大学・秋田県立大学名誉教授の鈴木有氏は、現在の在来工法を
【総力前線防衛型】
と定義し、
古民家にみられる伝統工法を
【多段階防衛型】
とした。

これは、もっぱら筋交いや、面材などで住宅を剛構造化し、地震力を力で押さえようとした考え方の総力前線防衛型の在来工法。に対し、

地震では、剛性だが脆い土壁で耐え、土壁が崩れた後は、仕口、継ぎ手を用いた「木組み構造」でしのぎ、それ以上の大型地震では、束石の上で建物が滑り、地震力をかわす免震構造で対応し、最後建物が傾いても通し貫により、倒壊を防ぐ多段階防衛型の伝統工法。

前者は、構造計算などで、算出した想定以上の地震に遭遇した場合には、耐力は急速に失われ、倒壊の危険をはらんでいる。

後者は、いくつもの揺れを受け入れられ、順応性が高く、揺れれば揺れるほど、その性能を増す。

地震国の日本では、こうした伝統工法は、まさに、日本に適した造りであり、これを継承していくべきであろうと思っている。


先代の千恵を見習いたい。

【一般社団法人神奈川県古民家再生協会】http:// www. Kominka -kanagawa.com